セブ、フィリピンの現状
アジア屈指のリゾートアイランドとして知られるセブ島は、フィリピンの首都マニラに次ぐ第二の経済都市です。日本からは比較的近距離で、英語圏ということもあり、観光客をはじめ、ロングステイヤー、語学留学生、そして現地のホテルや企業に勤める社会人が急増しています。その一方で、この島には日本では考えられないような暮らしをしている貧困層と呼ばれる人たちが大勢います。 フィリピンは、一日1ドル以下で暮らしている、いわゆる貧困層が全人口の30%ほどを占めていると言われています。そして子供の出生率は3.14人(2010年)と高いため、多くの人たちが低所得で大家族と言う状況です。 そのためスクワッターと呼ばれる不法占拠エリアが、市内のあちらこちらにあり、路上には物売りや物乞いをしながら暮らしているストリートチルドレンが大勢います。
貧困層と言われる人たちの場合、父親が定職に就いていると言うケースは稀です。大工、職工、港湾労働など不定期にある肉体労働、手に職を持っていれば電気や溶接など技術を生かした仕事を請け負っています。母親は路上で食べ物を販売したり行商をしたり、近隣住民の洗濯や家事を請け負い家計を助けています。 EMSが支援している家族の場合、5~7人家族で月収は6,000円~15,000円ぐらいです。 貧困家庭に生まれたら、その生活から一生抜け出すことはできないとまで言われています。
学校制度
フィリピンは1-6-6制です。幼稚園が1年、小学校が6年、そして高校が6年。ここまでが義務教育。 初等教育も中等教育も90%近い就学率ですが、小学校の場合ですと約30%、高校で約50%の生徒が、途中でドロップアウトをしてしまうそうです。 ドロップアウトする子の多くは、経済的に余裕のない家の子供たちです。 子供を働き手と考え、学校には行かせずモノ売りなどをさせて日銭を稼がせたり、また、通学のための制服や文房具などを買い与えることができずに、学校に行くことができない、と言うケースもあります。 高校卒業後は2年制のカレッジや4年制の大学があります。 経済的に余裕のある家の子供はもちろんですが、アルバイトなどで学費をためて勉強を続ける子、奨学金制度を利用して進学する子も多くいます。 フィリピンの大学年齢の人たちの約30%が就学をしているそうです。この数字はアメリカや日本と変わりがありません。
超競争社会
フィリピンの人口は2010年現在で9,400万人。出生率が高いため子供や若い人が多く、人口ピラミッドはきれいな富士山型をしています。 反面、人口に見合った産業が育っていませんので、一流企業への入社はおろか、定職に就ける人はごくわずか。 小学校、高校、大学とトップクラスの成績で卒業し、かつ卒業後も、専門的なスキルを学んでいるような人ではないと良い職に就くことは難しいのです。 つまり選ばれた一握りの層が良い職を得て、その他ほとんどの人はパートタイムであったり短期の契約社員であったりします。 フィリピンでは、大学を卒業しても、ファーストフード店で働けるかどうか、なんです。
楽天的なフィリピン人の性格
経済的にも家庭環境にも恵まれていない貧困層の人たちですが、彼らは本当に明るく、どんなに貧しい生活でもいつも笑顔に溢れています。 それは、フィリピン人の国民性と、彼らならではの幸せの基準があるからです。 多くのフィリピン人は、家族をとても大切にします。家族といっしょに過ごし、たとえ質素な食事でも、毎日いっしょに食べることができれば幸せを感じます。また、催し事をとても大切にするのも彼らの特徴です。日常生活ではイベント事の少ない彼らは、たとえ地域の小さな催しでも、クリスマスのような大きなイベントでも、それらの機会を大切にし、そして一生懸命にその時間を楽しもうとします。 多くのフィリピン人は楽天的で、先のことはあまり考えず、他人と自分を比較せず、いやなことを引きずりません。そして自ら積極的に人生を楽しもうとしています。